第12回CV-NET研修会|北陸開催
- 質問①
中川先生に質問お願いします。
PM挿入中の設定は、DDD60の患者さんのところにMEさんが来て、PMの設定変更をされ「MVP50にレートレスポンスをつけました」と報告いただきました。恥ずかしながら不勉強なため、MVPが何なのかわかりませんでした。まず、MVPが何かと、AAI・VVI・DDDなどの設定のほかMVPのような設定があったら教えていただきたいです。 - 回答
【MVP】
MVPはManaged Ventricular Pacingの略です。
不必要な右室ペーシングを減らす機能となり、AAI(R)⇔ DDD(R)を自動的に行き来させ、洞機能不全症候群の患者さんに使用します。
MVPモードはAAIモードで作動しております。その効果はと言うと長期的な心不全の予防、心房細動の予防、電池寿命の延長などが上げられます。
仮に房室ブロックになった場合バックアップペーシングを実施します。連続して心室への伝導途絶が起こると、DDDに切り替わります。
またDDDモードからAAIモードへの切れ替えは定期的にチェックをしております。【オートモードスイッチ】
自己の心房レートが一定以上になると、自動的に作動モードが変わる(DDD→DDI or VDI / VDD→VDI)機能の事。
これにより上室性の頻拍が起こった時に心室のレートが必要以上に上がるのを防ぐ事ができる。【レートレスポンス】
正常な心臓は、歩いたり走ったり運動などをする事によって、安静時に比べて脈が上昇します。そして上昇した脈は運動をやめた時点から 安静時の脈まで下降していきます。 ペースメーカのレートレスポンス機能はそういった 運動による脈の上昇と下降をコントロールして、 より生理的なペーシングを実現する機能です。レートレスポンスは、ペースメーカのペーシング率が高い方、ペースメーカの依存度が高い方、年齢の若い方が有用な機能といえるでしょう。多くの方がレートレスポンスをOFFにしているのは、ペーシング率が少なかったり、ペースメーカの依存度が低い方が多いからかと推測されます。
そしてレートレスポンスは生理的に良い機能ですが、電池寿命が約数ヶ月ほど短くなるという難点があり、なかなかONにしていないというのも現実と思います。
- 質問②
「トラブルまとめ」のところで上から5番目「1つの原因が複数の問題を引き起こす」の具体例を教えて下さい。 - 回答
心房リード脱落が、心房ペーシング不全のみならず、心房リードが心室側へ垂れ下がることによりリード刺激によるショートラン、VT誘発の可能性も含めて載せてあります。
例えば閾値上昇がマイクロディスロッジ(電極の移動)、もしくはリード不良の初期症状、もしくは抗不整脈薬にも影響されますので、問題は一つではないということを念頭に過去のデータと見比べ、ペースメーカに精通したドクタxーを含めて考える必要があるという意味で掲載しました。